小、中、高、大と同じ学校に通った親友のK君が、中国で行方不明になりました。
中華系企業で働いていたはずのK君ですが、2020年末頃から音信不通となっています。
どこかで元気でやってると信じながら、K君の数奇な人生について書き留めておきたいと思い記事を書きます。
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僕は地元で就職しました。K君とは距離が出来て、顔を合わせる機会は年に数回程度になってしまいましたが、ラインでは頻繁に連絡を取り合っていました。
K君が不動産投資の会社を退職してからというもの、僕はよく「地元に帰ってこい」と言っていました。K君が東京に居る意味がないと思ったからです。家賃や食費も安くはないです。しかし、K君はその提案を頑なに拒否し、東京で「成功」するということにこだわっていたのでした。
父親が他界したため、地元で一人で暮らす精神障害のある母親が心配だろうと心配しましたが、K君の母親は日常生活に支障はないようでした。夜中に出歩くなどして近所に迷惑をかけるといったようなことは頻繁にあったようですが、誰か一人付き添ってあげなければならないほどではなかったようです。
それから数年間、僕はK君が地元に帰ってくると必ず一緒に遊びに行き、東京に出張があるときにはK君を呼び出して、東京駅の近くで酒を飲んだりしていました。K君は定職に就いていなかったため、全部僕がおごりました。
そらく就職活動してもダメだったのでしょう。選ばなければいくらでも就職できたと思いますが、K君は意識高い系の人間であったため、妥協することができなかったんだと思います。ただ、困窮しているようにも見えませんでした。
僕たちは、互いに大学生になったときから、大晦日の深夜、元旦に地元の大きなお寺へお参りにいくというのが恒例となっていました。「毎年変わらないな。60歳になっても二人でお参りしているのだろうか」なんて、冗談を言うほど毎年同じ場所で集まり、同じお寺に行くということを続けていました。
ある年の大晦日、僕等はいつものようにお寺にお参りに行き、その帰りに飯を食おうとしていました。そんな時に開いているのは「すき家」とかそんなもんですが、二人で食べていつものように僕が会計を済ませようとすると、K君が「俺が払う」と言い出しました。
もう何年も、ずっと僕がおごっていたので、K君が飯代をおごると言ったとき、僕は本当に驚きましたが、K君はそれからずっと、僕に飯代をおごるようになりました。
僕は「就職したか、何かあったに違いない」と思い、そのことについて聞きましたが、K君は「いいの、いいの」と、余裕があるかのようにはぐらかすのでした。また、何だか僕を「貧乏人」として扱っているような態度をとる様になりました。
K君に何があったのか、聞いても答えてくれません。
ただ明らかに金遣いがあらくなっていました。
K君はここから更に奈落の底に落ちていきました。
~つづく~
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